【子供には虫歯になってほしくない…】5つの予防方法

「自分が虫歯で悩んだから、子どもには虫歯になってほしくない」と思っているお母様、お父様は多いでしょう。今回は、医療法人社団高松歯科医院の医院長を務める、高松朋矢先生にお話を伺いました。先生は、鶴見大学歯学部卒業後、総合病院勤務を経て、2020年8月に開院。小児歯科がある先生の医院には託児所が併設されており、親子で診察に来る方が毎日いらっしゃるそうです。日ごろ保護者の方から「子どもの歯はどうしたらいいの?」とよく相談を受けている先生に、よくあるお悩みについて伺い、子どもの歯を健康に保つために気を付けると良いことについてもお話いただきます。

赤ちゃんでも虫歯はできるのでしょうか

インタビュアー:先生、今日はお願いいたします。先生の歯科医院には小児歯科があるということですが、赤ちゃんでも虫歯になるんですね。

高松先生:赤ちゃんでも、虫歯になりますよ。

インタビュアー:赤ちゃんの虫歯ってどういうきっかけでできるのでしょうか。

高松先生:赤ちゃんの虫歯は、お母さん、お父さんから移ることがほとんどです。よく赤ちゃんの口にご飯を入れる前に、熱いかどうかチェックしたり、食べやすいように噛み砕いたりしますよね。その際に、親御さんが持っている「ミュータンス菌」と呼ばれる菌が赤ちゃんの口に移動してしまうんです。これが虫歯の原因になります。

インタビュアー:ミュータンス菌とは、初めて聞きました。どういう菌ですか?

高松先生:ミュータンス菌は、糖をエサにして酸を出す特性があります。ミュータンス菌はお腹が空いているので、歯についている食べ物の糖を食べて、酸を排出します。このように赤ちゃんの口に入ったミュータンス菌が酸を出すので、虫歯になるんです。

インタビュアー:そうなんですね。

高松先生:なので、赤ちゃんの時に口にミュータンス菌がなければ、虫歯になりません。赤ちゃんはどうしても可愛いので、口にチュッとしてみたりする親御さんも多いのですが、虫歯のことを考えるとあまりすすめられません。

インタビュアー:赤ちゃんは可愛いからどうしてもそうしたくなっちゃいますよね。
保護者の方に虫歯がない場合は大丈夫ですか?

高松先生:人間で、100%菌がない人はいません。ミュータンス菌は、菌の量や、強さ弱さはありますが、誰でも持っている菌です。「虫歯がない」と言う人は、歯が痛くないから虫歯がないと思っているだけで、結構虫歯になっていることも多いですよ。

インタビュアー:なるほど、そうなんですね。では、全てのお母さん、お父さんが気を付けなければいけませんね。保護者の方が赤ちゃんを連れて先生のところに来るタイミングって、どういうときですか?

高松先生:国のシステムで、「1歳半健診」というのがあり、歯のチェックも行われます。何か歯に異常があったら、親御さんが連れて来るというケースがほとんどです。

1歳半健診って、前歯が全部生えてくる時期の赤ちゃんにとって、重要なタイミングなんです。1歳半健診で何も言われなかったけど「気になる」という方もいて、その場合、「気になるなら一度うちに来てみたら」と言っています。

小さいころから歯医者の空間に慣れてもらうことも重要だと思っているんです。うちの歯科医院は託児所を併設しているので、一緒に遊んでくれる保育士さんがいて、おもちゃもあります。「歯医者=楽しい」というイメージを赤ちゃんが持てたらいいなと思って、託児所を作りました。託児所があると親御さんの診察も一緒にできるし、お子さんが歯医者に行くことに抵抗がなくなれば、結果的に歯の健康を保てるようになると考えています。

インタビュアー:小さいころから、歯医者に行くのが楽しいと思えると、それだけ診察してもらう回数も増えて、虫歯予防にもつながりますね。お子さんを連れて健診に来る、他の理由はありますか?

高松先生:健康意識が強い親御さんは健診の結果に関係なく連れてきます。そういう方は、自分が過去に虫歯で苦労した方が多いですね。あとは、ほとんどありませんけど、本当に虫歯が黒くなって気づいたケースとかですね。

両親でもできる虫歯の予防方法って何?

インタビュアー:赤ちゃんの歯ブラシにはどんなものがあるのでしょうか?

高松先生:小さくて丸いものなど赤ちゃん向けのものがいくつかあります。ガーゼや綿棒を使ってもOKです。下の歯は唾液が流れていて虫歯になりにくいので、特に上の歯に気を付けてほしいです。

インタビュアー:上の歯の方が虫歯になりやすいんですね。歯磨きを嫌がる赤ちゃんには、どう対処すればいいですか?

高松先生:赤ちゃんは、数ヵ月経つと本能で口にものを入れてみたくなる時期が始まります。そんなときは、ダメと言わずにできるだけそのままにしてあげることが大事です。もちろん、誤飲の危険性のあるものはだめですが。口にものを入れて、赤ちゃんが、「これは食べ物とは違う」と認識できるようになることが、歯磨きへの抵抗をなくす第一歩です。私がおすすめしているのは、ゴム製の歯ブラシおもちゃですね。これを噛んでいるだけでも、だいぶ歯磨きに恐怖はなくなるはずですよ。

インタビュアー:子どもって、何歳くらいから自分で歯磨きできるようになるものなのでしょうか。

高松先生:歯磨きで「きちんと磨く」というのは、大人でさえ難易度が高いです。自分がしっかり100%磨けている自信はありますか?

インタビュアー:ないですね。(笑)

高松先生:赤ちゃんや子どもであればなおさらです。「ちゃんと磨いた」と言っても、ほとんど汚れが取れていないことがほとんどです。やはり、なるべく親御さんが毎日、難しくても3日に1回は夜に仕上げ磨きをする必要があります。子どもにまず歯磨きさせるのは、「ここまで歯があるんだな」とか「ここに歯が生えてきた」という自分の歯の状態を知ってもらうためです。私は、8歳くらいまで、親御さんが仕上げ磨きしてあげるのが理想的だと感じます。

インタビュアー:フロスって何歳から行っていいのですか?

高松先生:ある程度歯が生えてきたら、行っていいですよ。毎日である必要はないので、2、3日に1回行いましょう。子ども向けのフロスだとホルダータイプのものが良いでしょう。糸が細いので、歯と歯の間に入りやすいんです。

子どもがフロスを率先してやってくれるコツは、親御さんが楽しんでフロスをしているところを見せることですね。楽しそうになっていると「何やっているの?」と真似したくなります。子ども向けのフロスにはフルーツ味のものもあるので、そういうのを取り入れれば、入りやすいでしょう。

インタビュアー:子どもの歯磨きで、他に注意点はありますか?

高松先生:歯磨き粉を使うと泡ぶくになって磨いた気分になるので、歯磨き粉はあまり使わないで磨きましょう。そういう場合、歯磨きの後仕上げに塗るフッ素も販売されています。それを塗ってそのまま寝れば、フッ素が歯を守ってくれます。

インタビュアー:フッ素は子どもにも使っていいんですね。

高松先生:子どもから大人まで、使用していいフッ素濃度が決まっているので、年齢に応じてペーストを選べば、1歳からでも大丈夫です。ただ、フッ素には賛否両論があります。気にする方には、「オーラルピース」という歯磨き粉をおすすめします。この歯磨き粉は、天然原料から抽出したネオナイシンという抗菌剤が含まれ、 。フッ素が苦手な人はこれを使うと良いでしょう。

あと、私が個人的におすすめしているのは「B+」(ビープラス)という歯磨き粉です。通常、一般的な歯磨き粉には研磨剤が入っているのですが、この歯磨き粉にはコーラルアパタイトと呼ばれる天然成分が入っていて、歯にダメージを与えることなく磨く力も備えています。

どちらの歯磨き粉も大人用と幼児用があるので、親子で使ってもいいですね。

インタビュアー:先生、今日は貴重なお話をありがとうございました!

さいごに

先生のお話を聞いて、日ごろの疑問は解決しましたでしょうか?まず、赤ちゃんが歯磨きや歯医者さんを、抵抗なく受け入れられるようになるのが、最初のハードルです。歯磨きだけでなく、お菓子やジュースのコントロールも重要です。赤ちゃんや子どもの歯磨きについて悩んでいる保護者の方は、今回紹介していただいたいくつかの注意点やアドバイスを、是非取り入れていってみてください。

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